バイオリンでよく話題になるのは、「何年くらいで上手に弾けるようになるのか?」。

この問いには簡単に答えることはできません。年数よりも練習時間で考える方が、多少は意義のある話になるかと思います。

毎日2時間練習する人と一週間に1時間ほど練習する人では、単純に14倍の練習時間の差があるので、たとえばstage4まで進むのに、よく練習する人が10か月ほどで進むとすれば、練習量の少ない人は10年かかるかも知れないという話なので、どれくらいの期間でバイオリンが上手に弾けるようになるかは、その人がどれだけ練習時間を確保できるかでほぼ決まると言って良いと思います。

また、プロの演奏家のような綺麗な演奏がなかなかできないという悩みも多いようですが、私たちが目や耳にする一流のプロのバイオリニストは、たいてい1万時間以上はバイオリンを弾いている人なので、その半分の5千時間の練習をするには毎日3時間の練習を約5年続ける必要があるので、とにかくバイオリンは練習時間を多く取るということが重要だと思います。

しかし、バイオリンの練習は、弾いたことが無い人にはわかりにくいようですが、体への負担も大きく、無理に練習時間を増やすと、指、手首、腕、肩、首等を痛めてしまうことも少なくありません。バイオリニストのための体のトラブルに関して書かれた本も、何冊もあるくらいです。体に気を付けながら、練習量を増やすという、難しいバランスが要求されます。

また、バイオリンを弾いたり弾かなかったり、不規則な練習だと、せっかく身についた演奏能力が、弾かない間に失われてしまい、練習を毎日続ける場合と比べて余分に練習が必要になってしまうということもあると思います。

毎日、だいたい同じくらいの時間の練習を、体を休ませることも考えて、無理のないペースで続けてゆくように心がければ、スムーズに上達できると思います。






左手ピチカートを使う曲は、チゴイネルワイゼンと、カプリース24とスペイン交響曲5楽章の3曲しか練習していませんが、練習を休むとすぐに出来なくなってしまうので、ほぼ毎日練習しています。

左手ピチカートは特殊な演奏技術ですが、左手と右手の基本的な演奏能力、肩と顎でしっかり楽器を保持する能力が重要で、回り道のように感じられるかもしれませんが、バッハの無伴奏ソナタ・パルティータの中のブーレやジーグ等をしっかりと弾き込んで、基本的な演奏能力を高めることが上達に役立つと思います。

鈴木教則本1巻では、無窮動までイ長調1弦、2弦を主とする練習曲が続き、その後にアレグレット、楽しい朝と、ニ長調3弦を主に使う練習曲が続きます。

この鈴木教則本のイ長調→ニ長調→ト長調と、高音弦から始まり低音弦へと進んでゆく教程は、合理的で無理が無く、最も優れたバイオリンメソッドだと思います。英語版や中国語版が出版され、世界中に鈴木メソッドが広まっているのもうなづけます。

三段目後半の2弦4、3,2、1、3弦4、3、2、1の部分は、簡単そうに見えて意外と難しく、右手も左手も基礎がしっかりできていないと、なかなか綺麗に弾けません。この部分が綺麗に弾けない場合は、何度も繰り返して練習して、基本的な演奏能力を高めましょう。

11ポジションなど普段は無意識に、だいたいこのあたり、という感じで押さえていますが、このエチュードを使うと、しっかりポジションを意識してトレーニングできます。

高いポジションを使うので最初は難しく感じますが、summer prestoで7ポジションまでしっかり練習した後であれば、思ったよりもスムーズに弾けると思います。ハイポジションの練習曲としては、まずsummer presto、次にetude caprice4を教材として使うのがベストだと思います。

鈴木の教則本では2巻の終わりにサードポジション、3巻の終わりにセカンドポジション、4巻でフォース、5巻でフィフスと、徐々に高いポジションを練習してゆく流れになっていますが、2巻から4巻でサードポジションがしっかり練習できたら、後はsummer prestoとetude caprice4の2曲を使って、ポジション移動の感覚を実際のレパートリーの中で身につけるやり方が良いと思います。

summer prestoとetude caprice4の良い所は、youtubeなどのネット動画で、無料で優れたお手本演奏が見れるという点にもあります。昔は存在しなかったネット動画ですが、今は手軽に見れる環境があるので、積極的に活用しましょう。

ポジション移動は、ビブラートと同じく、今日習ったから今日からできるようになるというような、短時間で習得できる技術ではなく、かなり長い時間をかけてレベルアップしてゆく技術です。

鈴木教則本では、2巻の終わりに第3ポジションの練習をして、その後、3巻ではまだ部分的に出てくるだけで、本格的にポジション移動を使って演奏するのは4巻のビバルディの協奏曲からになります。

ポジション移動を習ってから本格的に演奏に取り入れるまでに、かなり間を置いており、このため比較的スムーズにポジション移動の技術を習得することができます。

新しいバイオリン教本では、3巻の前半に第二位置、第三位置の練習があり、その後は本格的にポジション移動を使って演奏する曲が続きます。

実際に両方の教材を使ってみないとわかりにくいことですが、新しいバイオリン教本でポジション移動の技術を習得するのは、かなり困難だと思います。副教材として、市販されている鈴木のポジションエチュードを利用する場合もあるかもしれませんが、それよりは、2巻から4巻にかけてじっくりポジション移動の技術を習得する鈴木教則本を使う方が良いと思います。

私の経験では、新しいバイオリン教本を使った場合、3巻のポジション移動の習得に無理があり、そのため鈴木教則本をやり直したり、summer prestoを教材としてポジション移動の技術をじっくり習得しなおしたりということがありました。

バイオリン講師をはじめて間もない頃は、よくわからないまま新しいバイオリン教本も使っていましたが、今はこのポジション移動の技術の習得の難しさや、リズムトレーニングが不十分になりがちであること等の理由で、新しいバイオリン教本よりも鈴木教則本の方を使うことをおすすめしています。

アメイジンググレイス(イ長調)は、人によって相性もありますが、とても良い教材になります。

まず最初に3弦ゼロと2弦ゼロを続けて上げ弓で弾き、次に2弦ゼロを下げ弓で弾く練習を何回か繰り返し、その後で3弦ゼロを3弦イチに変えて、3弦イチ上げ弓、2弦ゼロ上げ弓、2弦ゼロ下げ弓と弾く練習をして、それからアメイジンググレイスを弾く流れで進めると、スムーズに弾けます。

左手ゼロ、イチ、ニだけで弾けるので、入門、初心者用の教材として、また、二重奏アレンジで合奏教材として、ポジション移動ができる人は2弦と1弦のゼロの所をサードポジションのニで弾いてポジション移動とビブラートを練習するのも良いです。

馴染みのあるメロディーなので音程がつかみやすく、特に入門から初心者の方が音程の取り方、左手の指が指板を押さえる場所を覚えるための教材として、ベストだと思います。

私のレッスンでは、バッハの無伴奏ソナタ・パルティータは、パルティータ3番のブーレ、同じく3番のジーグ、その次にパルティータ2番のジーガの順番ですすめています。

特別に難しい所があるわけではないのですが、全部を弾きこなそうと思うと、かなりハイレベルの演奏能力が必要です。

ボウイングは、基本的には小節の最初、16分音符6個つながりの最初が下げ弓になるように、アウフタクトは上げ弓で弾いていけばいいと思います。

バッハのオリジナルにほぼ忠実と言われているヘンレ版を使って練習すれば良いと思いますが、弓の上げ下げが、全く楽譜通りだと、8分音符ひとつと16分音符4つの所などでは逆になってしまう場合があるので、16分音符の前二つを上げ上げでひくか、8分音符とひとつめの16分音符を下げ下げで弾く等のアレンジが必要です。

アウフタクトを下げ弓で弾く人もいますが、やはりアウフタクトは上げ弓で。鈴木教則本では、アウフタクトは一巻の「クリスマスのうた」で習うのですが、バッハ無伴奏まで辿り着く頃には忘れてしまっているようです(汗)。

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教室によってはこの曲を一番最初にやる所もあるそうです。最初の1曲は、やはりきらきら星、それもタカタカタンタンが良いと思いますが、並行してかえるのうたもやると、早くから合奏の練習もできて、良いと思います。

音階練習は、stage4までは基本的には鈴木教則本を使うので、stage1の前半は教則本の中のイ長調、ニ長調の音階とアルペジオ、stage1の後半からstage3の終わりまでは、4弦ゼロから1弦ファーストポジション小指まで上がって降りるト長調の音階とアルペジオ、stage4の前半は教則本4巻のはじめの方に載っているファーストポジションとサードポジションで弾くニ長調の音階練習をやります。

4巻の4曲目のビバルディの協奏曲に入ったら、同じビバルディの作曲した協奏曲集「四季」の夏の三楽章summer prestoを音階練習も兼ねて練習するようにお勧めしています。

二ページ目に出てくる7ポジションと、3ページ目に出てくる5、6ポジションは、鈴木の教則本の4巻ではまだ習っていない技術になるのですが、夏の三楽章を教材として4、5、6、7ポジションを練習するというやり方は、今のところうまくいっているように思えます。

また、このあたりから夏の三楽章、冬の二楽章、パッヘルベルのカノン、無伴奏パルティータ3番のブーレ、エチュードカプリス4番等、鈴木教則本に収録されていない重要なレパートリーを練習して、鈴木教則本だけでは身につかないバイオリン奏者としての感覚を学ぶことは、非常に有意義であると思います。

1ページ目のはじめの方のどれみーみみそふぁふぁみらふぁみれれれ(固定音階そらしーししれどどしみどしららら)の部分、セカンドポジションへの苦手意識からファースト→フォース→ファーストと弾いていましたが、セカンド→フォース→ファーストへ変更しました。2,3,4の指が1,2,3になったので、かなり安定感が増しました。10年以上練習しているのでもう何十カ所もポジションの変更をしていますが、おそらくこれでポジションは全て固まったと思います。たぶん、、ボーイングはまだこれから変えてゆくかもですが。

今、ちょっと市販の楽譜で確認したら、セカンド→サード→ファーストになってます。むむむ。

3の指、4の指は、強い人はいつでもよく動くみたいですが、私はあまり強くなくて、調子の良い時はファーストでもうまく弾けますが、調子の悪い時はもつれぎみになってしまいます。なので、セカンドポジションに変えた方が良いみたいです。
ポジション変更は、どちらのポジションがより良く弾けるか、何度も弾いてみるので、結果的にどちらのポジションを採用するにせよ、良い練習になります。


8月2日追記

件の部分、またいろいろなポジションとボーイングで弾いてみたのですが、フォースポジションを使うと、らふぁみれの部分の最後のれの前にポジション移動が入って、8分音符4つのつながりが悪いことに気づき、結局、市販楽譜のセカンド→サード→ファーストに落ち着きました。さすが市販楽譜。Igor Ozim氏に感謝です。

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