2019年09月

右手も左手もかなり複雑な動きがあるので、なかなかの難曲です。特に4ポジションはこの曲の中では重要なポジションなので、4ポジションは特にしっかり練習しましょう。

1ページ目では17小節から28小節の、16分音符4つの中の二つ目に1弦のゼロが入るフレーズが、難しい移弦とポジション移動があり、練習を特にたくさん要するところです。最初はファーストポジションで練習して、ある程度慣れてからポジション移動を入れてもよいかもしれません。右手の複雑な移弦と左手の正確なポジション移動がマスターできるまで、根気よく練習しましょう。

3ページ目前半の3連音のフレーズはものすごく難しいです。なので、よほど右手も左手も能力を高めておかないと弾きこなせません。ガラミアン先生の本にも難しいパッセージの例として記載されているくらいなので、大変な量のトレーニング、練習を経なければ弾きこなせないものと思っておかないといけません。

さらに、このコンチェルトは他のページもすべてかなり難しく、全楽章仕上げようと思うと年単位の練習計画をたてる必要があると思います。しかし、それでもバイオリン音楽の最高峰と位置付けられることも多い至高の名曲なので、もし、十分な練習量を確保できる恵まれた環境にいるのであれば、なんとか練習時間を確保して、体を痛めないように注意しながら練習をすすめて、ぜひ頑張ってレパートリーにしましょう。

第四部(Allegro molto vivace)の第7節は左手ピチカートの入った難しいフレーズです。前のフラジオレット、後のsulGともども、綺麗に弾けるようになるにはかなりの練習量が必要なので、早めに練習を始めましょう。

左手ピチカートでの音階練習とアルペジオなどもある程度はやると良いですが、それよりもバッハ無伴奏やエチュード・カプリス、カプリス24などをしっかりたくさん練習して基礎力を高めて、あとはカプリス24の第九変奏やスペイン交響曲5楽章7ページ等、レパートリーの中で左手ピチカートの練習をする方が良いのではないかと思います。

肩当はバイオリンを保持しやすくするための付属品なので、肩当を付けた方が弾きやすければ付ければ良いし、付けない方が弾きやすければ付けなくて良いのです。

一般的には付けた方が弾きやすく、今は付ける人の方が多いですが、昔のバイオリニストは付けない人の方が多かったので(良い肩当が普及していなかったという事情もありますが)、どちらでもいいわけです。

バイオリンの演奏のレベルは練習量でほぼ決まると言っても過言では無いので、肩当を付けた方が体の負担が軽減され、体に無理なく練習量を増やせるというメリットはあると思います。なので、ある程度以上のレベルを目標とするなら肩当を使用する方が体をいためるリスクが少なくなるので、肩当を使用した方がいいと思います。

ポジション移動やビブラートをする場合は特に、左手が自由に動かせるように顎と肩でしっかりバイオリンを保持する必要があり、ポジション移動、ビブラートの練習を始めるタイミングで肩当を使ってみるのも良いと思います。

youtubeの動画をいろいろ見ていると、昔の名バイオリニストは確かに肩当無しで名演奏を残しているのですが、全体的に見ると、やはり肩当が普及してからの時代のバイオリニストの方が正確性や安定性が向上しているように思えます。

バイオリンで何かの曲を弾こうと思ったとき、その曲の難易度、その曲を弾くために必要な演奏技術・演奏能力、必要な演奏技術・演奏能力を習得するために必要な練習時間と練習内容をできるだけ正確に理解しておくことが重要です。そのために役に立つ概念がstageです。

levelという言葉が使われる場合もありますが、levelという言葉を使うと数字の小さいlevelにネガティブなイメージがつきやすく、stageという言葉の方がそういったイメージを緩和できると思い、stageという言葉を使っています。

難易度の判定は人によって違いがあるので、この練習日記で使うstageの数字は私の主観も入ったものですが、これまでに私が見聞きした多くの資料や先輩の方々の意見、判断から見てもほぼ妥当な評価と考えられるようにしているつもりです。

演奏技術・演奏能力の向上に特に有益な曲はエチュードとして知られているものが多いですが、通常のレパートリーももちろん演奏技術・演奏能力の向上に役立ちます。練習内容を考える時にはどのようなエチュード、レパートリーを選んで練習すれば良いのか、慎重に考える必要がありますが、その際、stageの数字の小さい曲から順番に練習を進めてゆくと、無理なく演奏技術・演奏能力を向上させることができます。

選曲には個人の好みや目標とする曲、目標とする演奏家、演奏スタイル等による違いもあり、一概には言えませんが、できるだけ多くのバイオリン奏者の方の役に立つ情報を提供できるように、このブログを書いてゆこうと思います。


ファースト・セカンド2段、5ページの楽譜の4ページ目です。

grazioso e molto legato.からソーファソミレシソソ♯ラファミソドミドソミソミソミソというメロディーが変ロ長調→ハ長調→ニ長調と一音ずつ上がりながら3回繰り返しますが、二回目のハ長調の部分をしっかり最初に練習しておけば、変ロ長調、ニ長調の部分も1ポジションづつ移動するだけなのでスムーズに練習できます。

次の小節はミソドミドソミソミソミソというメロディー(先のメロディーの後半部分)をさらにホ長調→嬰ヘ長調と弾いてゆきます。6→8→7→9のポジションをしっかり意識しながら弾くと安定した演奏ができます。

次の2小節は16分音符6個の減7の分散和音のフレーズを増2度(短3度)づつ下降しながら弾いてゆきますが、後のローポジションで弾く小節の方を先にしっかり練習しておくと、前半のハイポジションはそのオクターブ上なので、スムーズに練習できます。ポジションは前半9→7、7→6、6→4、4→2、後半2→1、1→3、3→1です。

バイオリンの場合、練習内容も重要ですが、それ以上に練習時間を十分に取ることが大切です。

一日1時間練習する人と週に30分程度の練習時間の人を比べると、14倍もの練習時間の差があるので、上達のスピードが10倍以上違っていてもおかしくないわけです。特に、ステージが上がってくると、曲もエチュードも長く高度なものになってくるので、ある程度以上の練習時間が確保できないと、進まなくなってしまいます。

目安としてstage1で20分、stage2で30分、stage3で45分、stage4で1時間、stage5で1時間半、stage6で2時間、stage7以上は3時間以上、毎日の練習時間を確保したいところです。

練習をしない日があると、その分、せっかく身についていた演奏技術を忘れてしまうので、ごくたまに練習しない日があっても、できるだけ毎日練習しましょう。

とは言っても、私もそうでしたが、レッスンの前の日や当日に慌てて練習するだけ、というパターンになってしまう人も少なくないようです。そうならないための方法として、バイオリンをケースに入れずに壁にかけたりスタンドに立てたりして、いつでも練習できる状況を作っておくことは、有効だとおもいます。

鈴木教則本の3巻はトナリゼイション、ト短調の音階とアルペジオ、ヴィブラートの練習からはじまって、マルティーニのガヴォット、バッハのメヌエット、バッハのガヴォット(ト短調)、ユーモレスク、ベッカーのガヴォット、バッハのガヴォット(ニ長調)、バッハのブーレ、第二ポジションの練習等が収録されています。

これらも全て非常に重要な練習曲なので、1巻、2巻、4巻ともども購入してじっくり練習することをおすすめします。ヴィブラートやポジション移動といった演奏技術は長期間かけて習得するものなので、stage2、stage3から練習をはじめて、本格的に演奏の中に取り入れるのはstage4からと考えるのが良いと思います。

そうゆう意味では、鈴木教則本では4巻前半のザイツの協奏曲までをstage3、ビバルディの協奏曲からstage4と解釈できると思います。

stage2、stage3では鈴木教則本収録曲以外では、ジュピター、主よ人の望みの喜びよ、ダニーボーイやアメイジンググレイスの二重奏、シュラディークの運指練習、ポジション移動もはいっていますが金婚式などがおすすめです。

鈴木教則本の2巻にはトナリゼイション、共鳴の一点の後、「ユダス・マカベウス」から合唱、バッハのミュゼット、狩人の合唱、ロングロングアゴー、ブラームスのワルツ、ヘンデルのブーレ、ニ短調の音階とアルペジオ、二人のてき弾兵、「妖精の踊り」のテーマ、変ロ長調の音階とアルペジオ、「ミニヨン」よりガヴォット、イ短調の音階とアルペジオ、トゥリルの練習、リュリのガヴォット、ベートーベンのメヌエットト長調、イ長調の音階とアルペジオ、ボッケリーニのメヌエット、ポジション移動第3ポジション等が収録されており、教材として非常に優れたものなので、CDが付いて値段が高くなっていますが、ぜひ1巻、3巻、4巻ともども、ご購入をおすすめいたします。

もし、何かの理由で鈴木教則本の2巻を使用しない場合も、質・量ともにほぼ同等の練習曲、エチュードを練習することをおすすめします。

つづく


先にstage1についていろいろ書きましたが、stage2、stage3についてはあまり書くことは無く、どんどんいろんな曲を練習してレベルアップしてゆくステージです。

stage1でイ長調からト長調まで練習しましたが、stage2、stage3ではイ短調、ハ長調、ニ短調、ヘ長調、ト短調、変ロ長調等も練習しましょう。

鈴木教則本2巻と3巻は非常に良い選曲になっており、基本的には鈴木教則本の2巻と3巻を前から順番に練習してゆくのがベストだと思います。

ポジション移動を使ってビバルディの協奏曲等を練習するのがstage4からと定義するなら、鈴木教則本4巻前半のザイツの協奏曲までがstage3と考えるのが自然かもしれません。

つづく

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