2019年12月

presto method

入門から初級はインターナショナル版や中国版が出版され、世界的に広く利用されている鈴木教則本の第一巻から第四巻を中心に練習をすすめてゆけば良いのですが、中級から上級へとすすんでゆくには、鈴木教則本はあまりにもヘンデルのソナタとモーツァルトの協奏曲に偏りすぎており、エチュード・カプリス、夏の3楽章(summer presto)、バッハ無伴奏、パッヘルベルのカノン等の重要な曲が入っておらず、おすすめできません。

特にsummer prestoは中級から上級へすすむ練習曲として、たいへんおすすめです。まだ弾いていない人はぜひ弾いてみてください。


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カリキュラムの日本語版ができました。
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アレグロ

鈴木教則本第一巻は8曲目のアレグロから無窮動、アレグレット、楽しい朝、習作と、鈴木先生のオリジナル曲が続きます。この5曲と4の指の練習、指の練習No.1、音階と分散和音ニ長調・ト長調を練習することによって、1弦と2弦のイ長調から2弦と3弦を主に使うニ長調、全弦を使って弾くト長調へとすすんでゆきます。

イ長調→ニ長調→ト長調とすすんでゆくには、イ長調で練習した曲をニ長調、ト長調で弾くというやり方もあると思うのですが、鈴木1巻のようにイ長調→ニ長調→ト長調をすすんでゆくためのオリジナル曲が用意されている場合は、それを利用するのも良いと思います。

ロングロングアゴー

鈴木教則本第一巻の7曲目がロングロングアゴーですが、この曲で初めて3弦を使う曲を弾くことになります。

ロングロングアゴーを弾く前から、開放弦のロングトーンで3弦や4弦もあらかじめ練習しておけば、よりスムーズに3弦を弾く練習ができると思います。

鈴木教則本ではこの後のアレグロ、無窮動では3弦は使わないので、ロングロングアゴーの練習と並行してアメイジンググレイス(イ長調)の練習をはじめるのも3弦に慣れるという意味では良いと思います。

アルペジオとかすみかくもか

イ長調の音階練習に続いてイ長調のアルペジオの練習をします。これまで隣の音への移動が多い曲を練習してきたのですが、次の曲のかすみかくもかはドミソドのアルペジオから始まります。

イ長調の音階練習→イ長調のアルペジオ→かすみかくもかという流れもよく考えられていて、鈴木教則本の良いところだと思います。

開放弦のロングトーン

鈴木教則本第一巻では、クリスマスのうたの次に開放弦のロングトーンの練習が入っていますが、開放弦の練習は基本中の基本で、教則本にかかわらず、レッスンの最初、練習の最初に毎回する方がいいと思います。


イ長調の音階練習

鈴木教則本第一巻では、開放弦練習の次にイ長調の音階とアルペジオが収録されています。2弦ゼロから1弦サンまで上がって降りてくる最も基本的な音階です。実はバイオリンの場合、音階練習を綺麗な音程で弾くのは意外と難しく、むしろチューリップやかえるのうたやこぎつねやアメイジンググレイスの方が馴染みのあるメロディーであるため、音程はとりやすいと思います。もちろん音階練習は重要なのでしっかりやらなければいけませんが、音程をとる練習としては、弾きやすくてよく知っている曲を音程に気を付けながら何度も繰り返し練習する方が効果的だと思います。

クリスマスのうた

鈴木教則本ではむすんでひらいての次にクリスマスのうたという曲を練習するのですが、ジングルベル、赤鼻のトナカイ等、いくらでも有名なクリスマスソングがあるのに、なぜ誰も知らないような曲を 選ぶのか、というのは誰しもが思うのですが、アウフタクトの練習曲としてはこのタイミングでこの曲を練習するのは最適かもしれません。

右手の動きのバリエーションを広げてゆく重要な一つがアウフタクトで、この曲で初めて(アメイジンググレイスをまだ練習していない場合)上げ弓始まりの曲を練習します。

アウフタクト(弱起)という言葉がこの後ほとんど出てこないので、忘れてしまう人も多いですが、重要な音楽用語なので覚えておきましょう。

むすんでひらいて

この曲は4分音符と8分音符が混ざっているため、4分音符を弾きやすい速さで弾くと、8分音符がかなり速くなります。なので、8分音符を弾く速さを考えて4分音符を弾くことになり、音の長さのバランスを身につける大変良いトレーニングになります。

鈴木教則本は、タカタカタンタンやむすんでひらいてをしっかり練習することによって音符の長さの感覚、リズム感が身につくようにうまく構成されており、この点も入門編で鈴木教則本が広く用いられている理由の一つだと思います。

こぎつね

ちょうちょうから後、しばらくの間は鈴木教則本第一巻収録曲を前から順番に練習してゆくのがおすすめです。もちろん手ごろな難易度で弾いてみたい曲があれば、鈴木教則本を離れて違う曲を練習してもいいと思います。しかし、鈴木教則本第一巻の曲順はバイオリンがスムーズに上達するようによく考えられているので、基本的にはやはり鈴木教則本第一巻を前から順番に練習してゆくことをおすすめします。

こぎつねは2段目がやや難しいのでしっかり練習しましょう。特に2弦の3の指の次に1弦の3の指を押さえる所は、2つの音をそれぞれ全く別々に3の指で押さえて弾くのではなく、2弦を押さえた3の指を少しずらすような感じで1弦側へ動かすようにすると、素早く2弦3の指の次に1弦3の指の音をきれいに鳴らすことができると思います。

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昔の鈴木教則本のように最初からいきなり4の指を練習させるのは論外だと思いますが、今の鈴木教則本の4の指の導入も、無窮動の前というタイミングは良いのですが、導入の仕方はやや不親切だと思います。

まず、01234321の前に10011441がありますが、これは順番が逆で、01234321の方を先にすべきと思います。さらに、0と4の音程を合わせるのは、ある程度4の指が使えるようになってからでないと無理があるので、最初は4の指でレのシャープもしくはミのフラットを押さえる練習をした方が良い場合もあります。


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19、20小節の重音はまず重音なしでメロディーを練習して、単音でメロディーが上手に弾けたら、まず19小節に2弦の開放弦を加えて、20小節の最初の3重音を鳴らして、それらが上手にできてから最後に20小節の二つ目から六つ目の8分音符も重音で弾くようにすればスムーズに練習できると思います。もし苦手であれば20小節二つ目から六つ目の重音は省略して単音で弾いても良いとおもいます。

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